なぜ日本人は投資をしようと思わないのか?
インフレの進行や年金制度の不安、ただ銀行にお金を預けているだけでは、将来のお金に対する不安はなくなりません。だからといって、自らリスクを取り、投資を行う個人投資家は、日本では全く広がりを見せないのはなぜなのでしょうか。
金融庁のアンケートを見ると、そもそも投資は必要ない、と考えている層が非常に多いことが分かりました。
2016 年初に金融庁で行ったアンケート調査では、投資未経験者のうち、約8割が「有価証券への投資は資産形成のために必要ない」と回答しており、その理由としては「そもそも投資に興味がない」が約6割、「投資はリスクがあり怖い」、「投資の知識がない」がそれぞれ約3割となった。また、「有価証券投資は資産形成のために必要だ」と認識しながらこれまで投資したことがない層は、その理由として「まとまった資金がない」との回答が7割強を占めたほか、「投資の知識がない」、「投資はリスクがあり怖い」という回答もそれぞれ約5割、約4割となった。
「そもそも投資は必要ない」が8割
投資をしたことのない人は、そもそも投資は必要ないことだと思っている割合が8割を超え、非常に高くなっています。なぜ、投資は必要ないと思うのか、理由を尋ねたのが以下のグラフです。
「そもそも興味がない」という層が6割。
次いで多いのは、リスクに対する危機意識の高さです。確かに、投資には、元本割れのリスクがあります。しかしリスクに対する危機感ばかりが先行して、リターンが得られるチャンスを自ら逃しているというところまで発想が至らないのは残念です。
4番目の「投資はギャンブルのようなもの」という考え方は分からなくはありません。例えば、ある企業の株式に全財産を投資する、といったような行動はギャンブル的だといえます。しかし、長期・積立・分散投資の発想で投資を行えば、このような考え方は間違いだとわかります。投資がギャンブルだといえるかどうかは、その人の投資のスタイルにもよるのです。
5番目以降については、自らのライフプランの問題です。お金は必要ない、これ以上いらない、またはどれくらい必要なのか予測できないから投資をしない、というのであればそれもまた一つの考え方だと思います。管理人は、ライフプランがどうであれ、お金はあるに越したことは無いと思っています。
「投資は必要、でも投資しない」のはなぜか?
一方で、必要だと思っているのに投資をしていないのはなぜでしょうか。
一番多い回答は、資金不足でした。金融庁の資料でも赤く囲って「少額投資不知」と書かれています。投資信託は月500円から積み立てることができるものもあります。まとまった資金がなければできないというのは間違いです。
2番目以降の回答には「リテラシー不足」と書かれています。投資についてまだ何も知らないため、リスクを恐れて投資をしていない状態といえるでしょう。
投資に対するリテラシー不足
このアンケート結果からは、回答者の投資に対するリテラシー不足が垣間見えます。また、「そもそも興味がない、必要ない」と言った回答が多いことも特徴といえます。
こうした結果から、投資教育の重要性が改めて確認できるものの、投資教育を受けたことのない者が約7割を占めており、そのうち約3分の2が、「金融や投資の知識を身に付けたいと思わない」とも回答している。このため、本人が行動を起こさなくとも投資教育を受けることができる外部的な環境(例えば職場積立NISA や確定拠出年金等)の整備を推進していくことが有効と考えられる。
(中略)
また、実社会における投資教育の前段階として、学校の場で金融・投資に関する基礎知識を学んでおくことも、有効と考えられる。
金融庁では、投資教育と制度設計の重要性について再認識しているようです。
終わりに
日本の株式相場はバブル崩壊以降、未だにその相場を超えることができていません。30年経っても株式市場に成長の兆しが見えていない以上、興味を持つ人が少ないのは仕方がないことなのかもしれません。
少し面白いなと思ったのは、アンケートの中に、「投資とは金持ちがやるものだと思うから」という回答があったことです。「投資をすることで自分も金持ちになれるかもしれない」とは思わないのが不思議です。
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